一途な彼は俺様モンスター

え…





微かだったが、遠くから空翔の声が聞こえてきた。


空翔の声!?





間違いない…

今、空翔が私を呼んだ…!





「つ、…空翔ーー!」


煙を吸い込んで苦しい中、私は今ある力を振り絞って叫んだ。



お願い…!

届いて!


空翔に…届いて…っ!

私はここだよ…





でも…







トンっ



「うっ……………」



突然首の後ろを誰かに叩かれ、急に意識が薄れていく。

ふわふわと視界が見えなくなっていき、ついには私は意識を失った…


煙で周りは全く見えなかったが、私の気を失わせたのは、さっきのあの男だとわかった。





空翔………


助けに来て…




私は…ここにいるよ…












う…

あれ?


目を開けると、真っ白な天井が見えた。

そして首を横に向けると、可愛らしい花柄の壁が…




ここはどこ…?


っていうか…私は……誰?






「…目が覚めた?」

「…!」


突然、男の人の声が聞こえて驚き、私は飛び上がるように体を起こした。






「顔色いいね。良かった…」


部屋のドアを覗き込む男の人は、爽やかな感じのお兄さんだった。






「あ、あの…誰?」


その男の人に見覚えのない私は、一気に恐怖になる。





「なに言ってるんだよ…お兄ちゃんだよ。お前のお兄ちゃん」

「お兄…ちゃん?」

「そうだよ」


お兄ちゃんて…私のお兄ちゃん?




「お前さっきご飯を食べてる時に、いきなり倒れたんだよ。貧血かな?」


いきなり…倒れた?