「お父さんとお母さんことよ♪」


考え込むお父さんに、近くにいたお母さんが助け舟を出すように答えた。





「お父さんとお母さんが??」

「そうよ。お母さんは、お父さんのこと最高のパートナーだと思ってるけど?」


キッチンで食器を布巾で拭きながら、お母さんは私にウィンクをした。




「ハハハ。そうだな…お父さんにとっても、お母さんはパートナーだよ」

「…パートナーになると・・・・お父さんとお母さんみたいに、ずっと一緒にいられるの?」

「ああ。まぁ時には喧嘩をしたりして、お別れする人もいるけど…お父さんたちは離れたりしないよ。ずっと一緒だ」


少し照れくさそうに言うお父さんを見て、お母さんはクスクス笑っていた。




私はお父さんの言葉を聞いて、今にもにやけそうになっていた…

空翔は自分に、ずっと一緒にいようという意味で、パートナーになって欲しいと言ってくれたんだ。


嬉しい…





私が空翔に対する気持ちは、また膨らんだ気がした。

自分の中で、もっともっと空翔が大きくなっていく…



空翔が好き。



だいすき。












けれど、その数日後…事件は起こった。





「熱いよー!」

「怖いよ!」

「早く逃げて!」

「火が強すぎて無理!」

「水を運べー!」



私の村は、突然炎に包まれた。

空翔と楓雅が家に住むと決まってから、数分後のことだった…


嬉しくて浮かれていた気持ちが、一瞬にして崩れ落ちた。


村は家事でパニック状態。

家の外に出ると、一族が次々に道端に倒れていた。





「浅海!家の中に入るんだ!」

「でもっ…」

「大丈夫!お前のことは血が守ってくれる!だから絶対助かる!」


お父さんは私の腕を引っ張り、家の中のリビングに突き飛ばした。

キッチンにいるお母さんは、流し台の水をボールにくみ、私やお父さんにジャバジャバとかけた。





「いいか、浅海?今外に出たら危険だ!助からないかもしれないし、きっとケガをする。でもお前はここにいれば助かるから!」

「お父さんたちは?」

「一か八か…外に出で助かる方法を見つける!」

「嫌だ!行かないで!」


ここに一人でいるなんて嫌!



私の目から涙が溢れる。

お父さんとお母さんも、目から涙が出ていた。