と言って、楓雅に初めて作り笑いをした。


そして楓雅の乗る車から離れ、人気のない道まできた時に、翼を広げて空を飛んだ。



風をきり、全速力で飛ぶ…


この感じ…あの時と一緒だ…

浅海の住む村が、火事になったあの時と…





浅海っ…




心の中で叫ぶ。


大声で浅海の声を…!








「空翔様ーーーっっ!」



その時、向こうの方からヨレヨレになったバネが飛んでくるのが見えた。

俺は全速力でバネに近づく。





「どうしたんだ!?」

「ハァハァ…」


息を切らしているバネは汗をびっしょりかいていて、頬が少し赤くなっていた。

羽の動きがいつもより鈍いことに気づき、俺はバネの異変に気がついた。





「バネ…お前……」

「浅海様が…例のモンスターに連れ去られました…」

「えっ」


バネはやっとのことで声を出し、よく見ると口元から血が出ていた。





「バネ、俺の肩に乗れ!話は飛びながら聞く!」


俺はバネを抱え肩に乗せると、また全速力で飛び始めた。

そしてバネは、時々息を切らしながら浅海が連れ去られた一部始終を話してくれた。


俺の的中した不安は、話しを聞くたびにどんどん大きくなる…





俺のせいだ。

俺が浅海を一人にしたから…


バネが弱ってたのも気づかないなんて…

人間界に染まり過ぎてる証拠だ。


幸い、浅海の血でバネは回復しつつあるから、それは良かった…

しかしよっぽどの風邪だったのか、バネの体は100%回復はしてない。

でも大丈夫。

浅海の血を飲んだんだ…治るのも時間の問題…


現に今のバネは、さっきよりも顔つきが変わってきてるし。



浅海の奴……

あれだけ念を押してたのに、バネに自分の血を与えたのか…


きっと…

バネと二人きりだったから必死で…考えて考えて出した決断だったんだろう…


俺に説教される覚悟だったと思うし。




いやそれは置いといて、浅海をどうやって探そう…