一途な彼は俺様モンスター

ケガを少し回復して動けるようになったあと、俺は入院している浅海に会いに行った。


でも、病院に入院中の浅海はいなかった…

病院側に聞いてみても、皆浅海のことは何一つ覚えていなかった。


俺はすぐに、モンスターの仕業だと思った…

火事があったあの日…

浅海の家にいたあのモンスター…

あいつが…浅海を・・・



その日から俺は、浅海を血眼になって探した。

絶対に、浅海を探してやる。

だけどどこを探しても、浅海の手がかりは掴めなかった。


時間だけがどんどん過ぎでいき、気がつくと人間でいう成人の歳が近くなり、仕事につくようになった。


浅海に会いたくて会いたくて…

毎日、浅海のことを考えていた…

浅海のことを考えない日はなかった…



でも、浅海は一向に見つからない。

諦めるつもりなんてなかったけど、少し諦めかけた時…


俺に光がさした・・・




都内の住宅街に、微かだがモンスターの気配がすることに気がついた。

その気配をたどっていくと、微量の時空にたどり着いた。


その時空の中で、浅海を見つけたんだ・・・




浅海はあるモンスターに捕らえられ、時空の中の住処で生活していた。


そこは浅海から見れば普通の住宅街だが、俺たちモンスターから見ればただの何もない時空の中…

そのモンスターは、そこに隠れるようにして浅海を自分のものにしていた。



俺はそこから浅海を救い出す計画を考え、なんとか浅海を救出。

そして、今に至る…







ブオオオン…


会社を後にして、今は楓雅と車で帰る途中。



「そういえばマサシからこの前連絡あって、会いたいって言ってたぞ」

「…この間3人で飲んだだろ」

「ハハ、まあな…ん?どうした?」


車を運転しながら、楓雅は俺の顔を不思議そうに見た。





「…浅海と電話が繋がらないんだ。バネにも…」

「………え」


俺の中に一気に不安がよぎる。





「楓雅…車止めてくれ」

「えっ…」


戸惑いながらも、楓雅は車を道路わきに止めた。





「俺は一足先に家に向かうから、一応真由子と…あとマサシに連絡しといてくれ。何かあったら、すぐに駆けつけられるようにしておいて欲しい」

「わかった…あ、待てよ空翔!」


走って行こうとすると、楓雅が俺を呼び止めた。






「無茶…すんなよ?」


楓雅は不安そうな顔をする。

俺はすぐにニコッと笑い…




「わかってるよ」