子供みたいに大泣きはしなかったけど、 涙は落ちてくる。 ただただぼーっと、“アイツ”を殴ってしまった 自分の手を見つめた。 ………こんな最悪なことなんて、ある? 好きな人を叩くなんて。 「……………ごめん」 誰にも届かない言葉を、今度は口に出した。 消えるような小さな声だったけど。 (…………明日の劇、どうしよ………) こんなんで、どう演じればいいんだろう。 姫が長井じゃなかったら……なんて考えてすぐ止めた。