「よろしく」



そう言って

黒板の前から足早に去り

そいつの名札をチラ見した


____
大塚梨沙
 ̄ ̄ ̄ ̄


これがそいつの名前だ


どかっと席に座り

じーーーーっと観察した


すると、隣のやつが話しかけてきた

沢村遥香。

意外と整った顔立ちをしている



ぷるんとふっくらとした唇

パッチリとした大きな目

スラリと伸びた綺麗な手足

さらさらの長い髪がフワッと動くたびに、甘い香りが広がる



あぁ、沢村は

この学校にとって

マドンナのような存在なんだろうと思った。

それに、俺はひっそりと

誘惑の塊だとも思った。



「梨沙がどうかしたの??」

コソコソっと耳に近づけていうから

沢村の吐息が

体温が

俺に伝わってくるようだった

「……いや、別に……。無愛想だなぁって思っただけ」

「ふ〜ん………」

いやぁ、

頬ずえをする姿まで美しいだなんて…

俺を誘惑しないでくれ…

「あのね、あの子、あーやっていっつも1人なの。だからね、あんまり近づかない方がイイと思う」

「へぇ〜…………。忠告サンキュ。気をつけとく」

そういうと、沢村は

エヘッって照れたようにはにかみながら笑い

前を向き直した