嘘をひとつだけ。

佐川の声はうまいわけではないけど、低くて、なんだか男のコだなぁと思ってしまった。


座るとキュッとシャツがつまんだ。


「…歌うなんて聞いてないよ!」


頬を赤くしてしまったのは計算…のはず。

それが大成功だったのか、その後、ちょいちょい佐川に絡まれた。


…人数合わせで来たつもりだった。





「ねー、、、LINE交換しない?」


二次会だー!っと盛り上がってしまい、各々好きな相手と会場を移動し始める中、佐川は切り出した。


「……ごめん。」



こちらとしては、連絡先は交換したい。
今日だけで落とせるとは思ってない。


でも、LINEは正直困る。

私のLINEはフルネームの漢字が名前にらなってるから、もしかしたら鈍感な佐川も気づいてしまうかもしれない。



私がーーーあの、小笠原愛菜だってことを。