蒼介さんからのメールを読みながら
ホームに降りると


「モモ!」


名前を呼ばれた。


キョロキョロと辺りを見回すと
ホームの少し離れたところに
制服のままの蒼介さんが驚いた顔で
立っていた。


「蒼介さんっ!」


気づいたときには
蒼介さんに駆け寄って抱きついていた。


「モ、モモ?!どうした?!」


驚きながらも、
優しく頭をなでてくれる
蒼介さんの手のひらの体温に
胸がキュっとする。


「会いたかった…
会いたかったの。

蒼介さんに会いたくなったの。」


「なにかあったのか?」


蒼介さんの優しい声が、
体に響く。


「ううん。なにもない。なにもないよ。
ただ、会いたかった。」


「そっか」


優しく微笑んだ蒼介さんが
一瞬、心配そうな顔をした。


「でも、お前、
こんな時間に出てきて大丈夫か?
佐伯先生、心配するぞ?」



「パパ今日は当直だから大丈夫っ。
ママには言ってきた。

でも、すぐ帰るね。
いきなりごめんね」



そう言って笑うと、

不思議そうな顔をして
蒼介さんが私の顔を覗き込んだ。