その視線に気づいたのか、


「数学演習、興味あるの?」


そう言って
テキストを指差した。



「あ、うちの学校は数学も必修だから
今、受講しようか迷ってて…」



「マリア女学院なんでしよ?」



「え??」



「ああ、この前、
セーラー服で来てたから。
あの制服、目立つから。」



なんだか、怖くなって
口を閉ざした。



すると、そんな私に呆れたように
その子は続けた。




「俺の好きな子も、
その学校に通ってるから」



「ああっ、それで!」



なるほどっ!


テキストには「葉山」と名前がかかれていた。




目の前で照れたように笑った「葉山くん」は、

小柄で華奢な体つきをしていて
茶色い髪に
くりっとした大きな瞳が
なんだか女の子みたいだ。


そう思っていると…


「俺のこと、可愛いとか
女の子みたいとか
言わないでね。

それ言われるとムカつくから。」



「は、はい……。」



見た目と、中身は全然違うみたいだけど。