「学校でお兄ちゃん、
蒼介さんに迷惑かけてない?」


ふと心配になって
蒼介さんに聞いてみる。


「あー、基本、お前の話は禁句?

洋二が
『モモちゃん、モモちゃん』って
お前の名前呼ぶだけで、

一樹、
鬼のような形相で
睨んでるからな。

怖くてお前のことなんて
とても話せねぇ。

また、いきなり殴られんのもな….」



お兄ちゃんに殴られたときのことを
思い出したのか

蒼介さんは顔をしかめた。



「……いろいろとごめんね」


「お前が悪いわけじゃないんだから
謝んなって」


そう言って蒼介さんは
包み込むように
優しく笑ってくれるけれど…


なんだか、蒼介さんのこと
困らせてばかり。


あれ?


そう言えば洋二さんって誰だろう……?




そう思って、


「洋二さんって
お兄ちゃんの友達?」


と蒼介さんに聞いてみると、


「お前、なに、洋二さんとか
呼んでんだよ?
他の男の名前、
呼ぶなっつったろ?!」


いきなりコツンと頭突きされた。


い、痛い……んですが…

な、なんで…?!