「佐伯先生、
この前は生意気なことを言ってしまい
すみませんでした。」


そう言って蒼介さんが

パパに頭を下げた。


「でも、
中途半端な気持ちで
モモさんとおつきあいしてるわけでは
ありません。」


まっすぐにパパを見て
蒼介さんは
はっきりとそう言ったけれど…



「ま、挨拶にきたくらいだから
そうなんだろうな。」



目を合わせないまま
ぶっきらぼうにパパが答える。



「真面目にモモさんとの将来を考えて
つきあっています。」



「まだ高校生の分際で
将来もなにもないだろう。

そういうことは
きちんと結果をだしてから
言いなさい。」


そこまで言うと
厳しい顔でパパが蒼介さんを見据えた。



「結果、出せるように頑張ります。」



「それから、
真面目にと言うくらいなら、

モモと帰ってくるときは、

駅までじゃなくて
ちゃんと家まで送り届けなさい。」



「は、はいっ。
ありがとうございます。」



パパ、駅で蒼介さんと別れてること、
知ってたんだ…



「別にモモをやるとは
一言も言ってないし、

認めたわけでもない。

ただ、自分の言葉に責任を持てと
言ってるんだ。


今日も、帰りは遅くならないうちに
きちんとモモを
自宅まで送り届けるように。」


パパは厳しい顔をしたまま
それだけ言うと
すぐに私たちに背を向けた。



パパ……