パパとママを驚かせたいという
蒼介さんの希望もあって

詳しいことはなにも伝えないまま
週末になってしまった。



部屋をすっきりと片付けて
窓の外に目を向けると

庭のクチナシの白い花が
太陽の光を反射して、

キラキラと輝いている。


なんて気持ちのいい土曜日!



『お兄ちゃん、バイトに行きました』


お兄ちゃんがバイトに出かけたのを
確認して、

こっそりと、

蒼介さんにメッセージを送る。



なんだか、

もう、これだけでドキドキっ…



ソファに置かれたクッションの位置を
意味もなく変えてみたり、


テレビやエアコンのリモコンを
並べ直してみたり。


ドキドキ、ソワソワしながら、

蒼介さんを待つ。



近くで待ってるって
言ってたから、

そろそろかな?





パパも今日は朝からなんだか
ご機嫌!




するとインターホンのチャイムが響いた。



軽い足取りで玄関へ向かうパパの後ろ姿を

緊張しながらついていく。



ううっ、ドキドキしすぎて
なんだか気持ちが悪くなってきた…



それに、お兄ちゃんのいない時に
蒼介さんをこっそり家に呼ぶなんて

やっぱりちょっと心苦しい………



お兄ちゃん、後で知ったら

怒るだろうな。



もちろん、お兄ちゃんがいたら、

挨拶どころの話では
なくなっちゃうんだけど。



なんて考えていたら、


嬉しそうに玄関を開けたパパが

キョトンとしている。