「じゃ、蒼介さん。」

駅の改札で蒼介さんと
つないでいた手を離した。

改札口を出て、左の歩道を
まっすぐに行くと
蒼介さんの通う男子校の洸星学園。

右にまっすぐに行くと、
私の通う女子校の聖マリア女学院。

改札から見える小さな公園に
お兄ちゃんや蒼介さん達の
派手なグループがよく集まっている。

でも、今は工事中なのか
公園はフェンスで囲まれている。



「放課後、校門まで迎えにいくか?」


「駅待ち合わせで大丈夫だよ!」


蒼介さんが学校に来ると、

すごく
目立っちゃうし……。



「そっか、じゃまたあとでな、モモ。」


視線を絡ませて微笑み合う。



すると、



ゆっくりと、蒼介さんの顔が近づいて。



「…………??」



なんだろう?



と思っていると……



蒼介さんの唇が、
ゆっくりと私の唇に、重ねられた…



「そ、そ、そっっ!!」



こ、こんな駅で、学校の近くでっ!


た、たくさん人のいるところでっ‼︎



動揺している私と、


余裕の笑みを浮かべる蒼介さん。



「お前、まだまだ隙だらけだな。
じゃあな」



そう言って私のオデコを
指でピンっと弾くと

軽く手を振って
行ってしまった。



ううっ……


恋愛上級者の蒼介さんに、

全然ついていけてない……



学校の近くや
駅では、こ、こんなこと、しないって

この前、約束したばかりなのに…


くぅ……



ゆっくりと呼吸を整えてから
学校へ向かった。