今日で3年になって、1週間。あの日から優は、すごくあたしに話かけてくれる。
でも、その度に胸が苦しくなる。


「美彩。おはよ。」


あたしが自分の席に座ってすぐ、隣から優が挨拶する。


「優。おはよ。」


「今日から部活、入部だな。」


「うん…でも、緊張するなー。」


昨日の夜、中々眠れなかった。


「大丈夫だよ。俺がいるし。」


何であっさり言えるの…。


「優~また美彩ちゃんとしゃべってんの~?少しはうちのこともかまってよ~。優の彼女なんだから~。」


「あーわりぃ。分かったよ。杏、屋上行こ。」


「やったぁ。早く行こ~優☆」


優と杏ちゃんは、カップル繋ぎをして屋上に行ってしまった。


杏ちゃんは、始業式の日、優が「俺の彼女になんない?」と話かけた女子…。


杏ちゃんは最初、彼氏がいるから優と付き合うのを迷っていたみたいだけど、今では優にゾッコンだ。


2人は、お似合いのカップル…。


「みーちゃん!おはよ。」


仲良さげな2人を目で追っていたら、後ろのドアから声がした。


「そうくん。おはよ。」


奏太君はあたしのことを、みーちゃんと呼び、あたしは奏太君をそうくんと呼んでいる。


「今日から部活でもよろしくな。」


「こちらこそよろしく。」


「マネージャーの仕事は、もう1人のマネージャー、高橋未来が教えてくれるから。あいつは優しいから、色々聞いて大丈夫だよ。あのことも、相談していいと思う。」


そうくんも、優と同じ、サッカー部。 


そうくんは、涼のことも、知っている。


「うん。ありがと。」


「まぁ、結論を出すのは、あんま急がないで、少しずつでいいよ。」


「うん。」


そうくんも、すごくチャラい。
でも、すごく優しい。


そんなそうくんの優しさに、あたしはいつも、救われているー。