それは漆黒の闇に浮かぶ炎から始まった。

リストーネ王国の城から突如として火の手

が上がり、城内は騒然とした。

そして間もなく城内の一室のドアが激しく

ノックされ開かれた。

「姫様!すぐにお逃げになる準備を!」

一人のメイドが血相をかいて起こしたのは

ほんの少し前まで寝息を立てて眠りについ

ていた17歳位の少女。彼女はその声に驚い

て飛び起きた。

「何があったのですか!?」

「クーデターです!詳しく話している時間

はありませんのでお急ぎを」

「分かりました。父様達は?」

「国王様と王妃様の所へはロードレック隊

長が向かわれました。レオン様の所へは

ヴィクトール副隊長が」

少女の身支度を手伝いながらメイドは伝え

る。