カウント・ダウン



せっかく幼い想い出に浸って泣けそうな気がしてたのに。
気持ち良さげに目を閉じてアタシの好きな曲に聞き入ってる男を心の中で軽く罵ってやった。

いいや、次の駅で降りよう。山が近くに見える。
癒される場所は見つかるだろう。


迷惑男から逃れるように突発的に降りた駅は、予想以上に閑散としていた。
アタシの住む街から電車でたった1時間程の所なのに。

少し先にたばこ屋のような駄菓子屋のような店が見える。
そういえばお腹空いた。
何か買って行こう。


あの古そうなビニールのひさし。何か懐かしいものでも見つかるかも知れない。優しい老婆と温かい会話を交わして泣くきっかけが見つかるかも知れない。