池田屋は白煙と悲鳴に包まれた。
霧のような白煙の中先に飛び出して来たのは藤堂さんだった。


「大丈夫、大した怪我じゃないから」


とは言うものの額を斬られた流血した血が両目に入ったらしい。



「無理をするな、沖田は?」


「近藤さんと二階へ」







「永倉さん!沖田隊長が...」


駆け寄ってくる浪士の後ろをみると支えられている沖田さんがいた。
よく見ると口の端に吐血したあとが残っていた。


(本当にアタシ、足手まとい。こんなに負傷している人がいるのに。何かしてあげたいのに..)


「あんずさん、動いちゃだめです。そんな暗い顔しないでください。あんずさんがいたから今があるんです」


背中の傷を治療している救護班の一人がはげましてくれる。


(ココの人たちは皆人思いだな)

そう感じ、私は彼に微笑んでみせた。