「離せ」





ーーダンっ



「ちょ...」



「いてて、冗談ですよ。本気にならないで下さい。それより掴んでいる手を離してもらえますか?」


沖田さんは斎藤さんに掴まれて赤くなった手首をさすり、小声で

「やり過ぎました」
と言い苦笑いを浮かべていた。

沖田さんも心配だけど、斎藤さんの行動が素早すぎたことにおどろいた。


沖田さんはその場に立つと斎藤さんに向かって

「これで解りましたね。僕と勝負...」

その後は聞こえなかったけど予想がつく。
余計なことを言ったに違いない。


それは斎藤さんの顔を見ればすぐ分かった。

沖田さんが出て行ったと思ったらまたすぐに
足音をたてて、こちらに引き返してきた。




「斎藤さん、あんずちゃんも一緒に来て下さい!!」


(何だろう、沖田さんの様子では焦ってるみたいだ)