(え。そこで振るのかそこで。)



藤堂さんに右腕をガッチリと掴まれ、ずるずると戸の前まで引きずられて行く私。
それを原田さんが藤堂さんに掴まれた腕と反対の左腕を掴まれ、引っ張り合いの状態になっている。




「藤堂、離せ、この娘は遊び相手じゃないんだぞ」



(腕....もげそう。)




「左之助こそ離してよー」




(.....はぁ)




私は心でため息をつき、偶然目があった土方さんに「た、す、け、て」と口パクでSOSを送る。
すると、土方さんは面倒臭そうに立ち上がりこちらへ向かってくる。




「おい、それくらいにしとけ」




そう言い、藤堂さんと原田さんの着物の首を
引っ張ってくれたおかげで、二人は離れてくれた。
そして屯所に居る人たちに挨拶をすまし、
気付いた頃には日が沈んでいた。