俺は目頭にたまってた涙を思わず
落っことしてしまった。






「朱羽?何で泣いてるの?」





『大事な親友だから』





一瞬でも期待してしまった自分




恥ずかしくなって情けなくて

颯太を見つめた。




颯太....





ポトポト涙がとまらない。



さっきまで


世界一の幸せ者。





なのに一瞬で





世界一の不幸ものだよ、颯太。




俺は涙を止めきれず



颯太の隣からそっと離れた、





「朱羽?」





「ごめん。颯太。」






そうして俺は海まで
走り出した。





「朱羽!!」





後ろから颯太の叫び声がする。






「待って!朱羽!どうしたんだよ!」






待てないよ





待てない






俺は制服だというのにもかかわらず
海にはいった。





ズボンが水分を吸い込んで重くなる。





「大事な親友だから....」




さっき颯太が言った言葉をリピートして
自分に言い聞かせた。



大事な親友って



こんな傷付く言葉だったけ?




俺はもう





颯太の大事な親友になれないや。