「普通なんだけどね」
「どこがだよ」
「普通だってば」
なかなか口を開いてくれない颯太。
なぁどうして
俺はお前の一番一番近い存在じゃない。
じゃあ
2番目?3番目?
お前にとって俺は何番目の存在なのだろうか
悩みも打ち明けてくれない
打ち明けられない
俺だから?
なぁ...どうして
「海行かね?」
颯太より手前の俺の家が見えそうなところで
俺はそうつぶやいた。
まだ帰りたくなかった。
颯太を、知りたくて。
「いいよ、行こうか」
颯太は嫌がる素振りもせず笑顔でそう言った。
まだ日は暮れてなくて
もう5時半過ぎてるというのに
明るい空は
季節は夏だということを
思い知らされるのだった。

