「さて、もう放課後だ。
帰るか?久しぶりに」


窓からくる生暖かい風に髪をなびかせながら颯太は微笑んだ。

「え」


俺は呆然としてしまった。


「用事ある?」


「や、ないけど。」


「じゃあ決まり」


そう言って颯太は
俺のホッペをつねった

「どーした?元気ない?」


「....つーかあれ。」


「ん」


「女は?」


聞くの怖かった
『ああそうだった。ごめん
やっぱりあいつと帰らなきゃ』

なんて言われるんじゃないかって。

「女?....ああ、優実のことか?」

俺はコクリと頷く。

「んー、なんか今日用事あるんだってさ」


そう言った颯太の
切なそうな横顔に

俺の胸はツキリと傷んだんだ。


そして俺たちは
帰り支度を済ませて

学校を出た。