「....い」
何処かで
かすかに声がした。
聞きなれた声。
この声は....
「おい!朱羽!」
ハッと目を開ける。
目の前に仁王立ちしてたのは
颯太だった。
「俺....寝てたんか?」
ボーッとした俺に
颯太は自分の口に指を当てて
トントンとつついた。
「....ん?」 俺は自分の口に手を当ててみる。
なんとヨダレが垂れていた。
慌てて服の袖でふいた。
そんな俺の様子を見て
颯太は笑う。
「お前っ....もう放課後だぞ?
眠りの森の王子のつもりかよ…くくっ....」
「....ちっ。笑うなよ
ってか、なんだそれ。」
恥ずかしくて
そっぽを向いて舌打ちをした。
「怒んな怒んな(笑)」
「じゃあ、笑うなっ」
他愛もない俺達の会話。
そんなひと時が俺にとって
スゲェ幸せなことだった。