「あ、そう!そのことで真須美に聞いて欲しいことが…!」
と、あたしが話しかけた直後、授業開始を知らせるチャイムが鳴った。
「あ…。…チャイム鳴っちゃったし、話は後で聞くよ」
そう言いながら真須美は前に向き直り、シャープペンのシンをカチカチと出した。
私の話はまるでそっちのけ…。
何か、…やる気出してんだけど…。
…まさか、次のテストもあたしに奢らせるつもりか…?
あたしは少しだけ危機を感じ、それだけは阻止しなくては、と急いで準備をした。
あたしも真須美に負けじとやる気を出したものの、途中まであのヤンキーの顔がこびりついて、授業に集中出来なかった。
…けれど、いつの間にかそれもすっかり霞んでいた。
あたしがやっとのことで頭の中からあいつを閉め出し、授業に集中し始めた頃、授業終了のチャイムが鳴った。
* * *
「で、話って何?」
あたしたちは昼食を食べるために食堂へと向かっていた。
食堂は女生徒でごった返しになっていた。
看護学校には男子もいるんだけど、女子の方が圧倒的に多く、男子がいることなんて忘れてしまう。でも、数が少ない分、余計に目立っちゃうんだよね。
あたしたちはわずかに空いた席を見つけ、そこに落ち着いた。
そこで、紙パックのジュースを片手に真須美が言った。
「あ、そうなの!聞いてよ!昨日、コンビニで超むかつくヤンキーに会ったの!!」
あたしは待ってました!と言わんばかりの勢いで話し始めた。その勢いでテーブルをバンッと叩いてしまった。
「ヤンキー?」
「そう!!髪も金髪っぽかったし、ピアスもジャラジャラ付けてて、おまけに超生意気なの!!」
あたしは昨夜の出来事を思い出しながら話す。
あいつの憎たらし〜い顔、暴言!思い出すだけで血が煮え繰り返る!!
「そいつがね!勿論、初対面なのよ!?
なのに、あたしの胸が小さいだの、太ってるだの、化粧は似合ってないだの!
あんた何様なのよッ!!」
まるでそこにあいつがいるとでも言うように、思わず声を荒げるあたし。そして再度テーブルを叩く。
けど、こんなもんであたしの怒りが治まるわけがない!


