コンビニの彼

課題の提出は本当にギリギリで間に合い、あたしは一先ず安心した。


あたしは呼吸を整えながら教室に向かう。
教室は2階にある。


校内は冷房がかかっていたが、走ってきたあたしの体温を下げるには物足りないくらいだった。


教室のドアを開けて室内を見渡すと、授業開始5分前ということでほとんどの机に授業で使われる教科書やルーズリーフなどが用意されていた。

あたしはそれらの横を通りすぎ、自分の席に着くと、
隣の席にいた親友の真須美がニヤニヤしながらあたしを見ていた。


「…何よ?」

「…史枝、提出は間に合ったの?」

「ギリギリでねっ
だから奢らないわよ」

「な〜んだ〜!チェッ」

真須美はつまらそうに呟いた。



あたしと真須美は、課題の提出に遅れた、つまり課題の点が貰えなかった方と、テストの点が悪かった方がジュースを奢るというルールを作っていた。

で、今回はギリギリで間に合ったから、あたしはジュースを奢らなくていいのだ!

…ま、かなり際どかったけど…。



でも問題なのは今月末に控えているテストだ。

あたしは大体、テスト前日に一夜漬けで勉強するんだけど、意外にも真須美は3日前から勉強を始めている。

あまり大差はないんだけど…。


それで今までのテストの点で、真須美に勝ったことがあるのは10回あるかないかくらい。

2年生になってからはまだ1度も勝っていない…。


あたしも本腰入れて頑張んないといけないのかな。




「それよりも今日は随分とギリギリだったね。寝坊したの?」

真須美はこの時になってやっと授業を受けるための準備を始めた。

ペンケースからシャープペンと桃色のボールペン、消しゴム、付箋を取り出して、それらを使いやすいように机の隅の方に並べた。


あたしは自分も授業を受ける1人であるのにも関わらず、その動作を他人事のように見ていた。

何故かそれに見入っていたあたしは「うん」と何気なく答えた。




”あんたって太ってるわりに胸は寂しいんだな”


ふとその言葉がよぎった。


それと同時にあの憎たらしいアイツの顔があたし頭のスクリーンにはっきりと映し出されたのだった。