「で、これは何?あんたが言ってた不良は女だったわけ?」
教室で机に頬杖をついて、昨日拾った生徒手帳を眺めながら真須美は言った。
あたしはあいつが落として行った手帳を学校に持って来ていたのだ!
もちろん、真須美に見せるため。
本当はこんな事しちゃいけないんだと思う。
けど、あたしを怒らせたあいつが悪いんだ。
「違うって。不良猿は男なんだけど、あいつ昨日これを落として行ったの」
「何でそいつがこんな物を持ってるわけ?」
手帳をしげしげと見回しながら真須美は言った。
「知らない。猿の妹か何かじゃないの?
ていうか、あいつにこんな可愛い妹がいるなんて信じられないけど」
「妹じゃなくて、…想い人かもよ」
真須美はニヤリと笑い、手帳をあたしに返してきた。
「え?まさか、あの猿が?」
「いや、どの猿か分からないけど、調べてみる価値はあるんじゃない?」
真須美はどこぞの探偵のように、確信がある目付きで言った。
声の調子から何だか楽しそうだし…。
「史枝、どうせ今日も不良君に会うんでしょ?何とか探ってきてよ」
「何でよ!猿が今日来るか分からないじゃん」
「来るでしょ、きっと。その手帳を捜しに」
真須美はあたしが手に持つ手帳を見つめた。
そうか。
持って歩くほど大事な物なら、捜しに来るよね。
でもあいつは何でこれを持っていたんだろう。
あの場所で何時間も何をしていたんだろう。


