『ありがとう』と言われる日まで。




「そりゃ、そうだ。彼女、声が出せないらしいし」



声が出せない…?


彼女が?


そんなことって、あるのか?



「失声症?ってやつらしい」



授業担当の先生がこちらを睨みつける。


授業中に話してたら当たり前だ。


それに、山本は気づきそそくさと前を向いた。



山本の言葉を聞いた後、授業の内容が頭に入ってこなかった。


失声症…


そんなことってあるのか?



しかし、その事実はすぐに理解できた。


まず、授業の中で教師に当てられることがまずなかった。


あるとして、板書の時ぐらいだ。



そして、極めつけは休み時間。