『ありがとう』と言われる日まで。




彼女が近づくにつれて、心臓がバクバクしてきた。


なんで、こんなにも緊張しているのかわからない。


が、そんなことを思っている間にも彼女との距離を縮める。


そして、彼女の斜め後ろ、すぐ近くまで来た。



後少し。


後少し。


僅かに机の上が見えた。


やはり、机に開いていたのはノートで、それには。


シャーペンで描いたのだろう、空の絵が広がっていた。



「スゲー…」



思わず言葉が零れてしまった。


俺の声が聞こえたのか、ゆっくりと彼女が振り返った。


さらりと肩にかかっていた髪が落ちる。