初めて見る、彼の笑顔だった。 …その笑顔を私は忘れる事が出来ない。 その瞬間、私は彼に恋をしたのだから…。 「えっ、嘘…っ。鬼来るの!?」 莉子の声で私は我に返った。 「…来るよ。早く逃げろって」 莉子達は佐々木君に後押しされるようにして、我先にと走っていってしまった。 「え…あ…っ、私も…逃げなきゃ…」 私が焦ったように呟くと、佐々木君はフッと笑った。 「嘘だよ、嘘。…上手くいって良かった」 「…え…?」 「…何だか言い争ってたみたいだから…止めたくってさ」 「あ…ありがとう…っ」