トボトボ歩いていると向こうから声が聞こえてきて、私は慌てて立ち止まった。 …一瞬、鬼が来たのかと思ったけど、どうやら違うみたいだ。 私は壁に背を付けて、聞き耳をたてる。 「自分だけ良い子ぶって、何のつもり?」 「良い子ぶってなんか…!」 「…はあ。…前から気には障ってたんだよねぇ…」 「私…そんな事は…何も…何も…っ」 「そういうの…マジうざいんスけど」 「きゃ、止め…ッ」 会話が悲鳴に変わり、私は咄嗟に飛び出していた。