そして私は階段を目の前にして暫く迷った後、階段を駆け降りた。 階を1階だけ移動した私は、周りをキョロキョロしながら歩き始めた。 「あ、のんっ」 後ろから声をかけられて、私は慌てて振り返った。 「ああ…未穂か…」 首にタオルを巻いていない未穂を発見した私は、安心して近付いていった。 タオルを巻いていないのは鬼ではない証だから、気にするようにしないと…。 「のん、鬼を見た?」 「…いや、見てないけど…声は聞いたような気がするんだよね」