泣くことも出来ず、ただひたすら隠すだけ。
「終わったよ…!」
今来ましたよオーラ出せてるかな。
作り笑顔バレてないよね。
まず、そこまで見られてないか…。
「お疲れ、疲れた?大丈夫?」
健太はそう言いながら笑顔で、近づいてくる。
「だ、大丈夫!」
後ずさりしたのに驚いたのか、
「本当?どうした?」
どうしたって、健太が浮気なんてするから。
怒りが露わにならないように、自分で自分をなだめる。
「本当…大丈夫だよ!安心して!」
その言葉を信じたのか、
「そっか、なら良かった!」
さすが、名演技。
女優になったら賞もらえるわ。
「そろそろ帰ろっか。」
「そーだね。」
一緒になんて帰りたくないけど、
しょうがないんだよね…。
「蒼衣!」
「拓磨?どうしてこんな時間まで?」
なんか、急いでいるのかな?
「お前、赤点だったんだから居残りって、河野に言われてただろ!」
あ!確かそんなこと言われたような。
河野先生の話、基本聞いてないんだよね。
「忘れてたー、ありがとう!」
「おう!ってか俺も残るんだけどな」
いや、そこでドヤ顔されても困ります。
ということで、一緒に帰らなくて済みました、ありがとう拓磨。
なんて、安心してる自分。
前までは、居残りなんて嫌だったのにな。