須賀さんは、私が社長の娘だからというだけで心配したりしないって本当なのだろうか…。
例えそれが真実だとしても、私には確かめる勇気がない。もし、違っていたら勘違い女と思われるかもしれない。
他人が私をどう思っていようとも気にしなければいいと、頭ではわかっているけどどうしても気になってしまうから私はいつも独りで悩んできた。
悩んで、悩みまくって、殻に閉じ籠る選択をした。
独りなら誰も私のことを悪く思わない。
独りなら他人を気遣うこともない。
独りなら……
ぽた…
「あ、あれ?」
涙がいつの間にか溢れていて、スマホの真っ暗になった画面の上に雫が1つ落ちた。
なんで泣いているのかわからなくて一生懸命涙を拭いていたら、トイレに誰か入ってきた。
一瞬須賀さんかと思ったが、聞こえてきた声は女性だった。どうやら観客のようで、今は休憩時間らしくメイク直しに来たみたい。
「やっぱルーメンカッコいいわ!」
「ねー、次のライブのチケットもうゲットしてるんだー」
「いいなーあたしも行きたい!」
仲のいい女性3人がルーメンのことで盛り上がっている。
そりゃあ世間一般的に見れば彼らはカッコいいだろう。私はどっちかって言うとアニメのキャラの方が好きだけど…。
誰推しかと盛り上がっている女性3人。
3人とも樹神さん推しのようで、さすが人気ナンバーワンな樹神さんだと思った。
「そういえば、さっき須賀くんが話しかけてこなかった?」
「あぁ、なんかあたしの隣に友達が座ってたらしいんだけどどっか行っちゃったって」
それ、もしかしなくても私のことですか?
マジで探してたんだ…なんか悪いことした気がするけど…須賀さんに迷惑掛けちゃったと思うとなんか出にくい。
さてどうしようかと考えを巡らせていると3人の女性たちはさらに話を続けた。
「あんたの隣に座ってた人ってどんな人?」
「ん?えーっと…なんか根暗っぽい貞子みたいな子だったかな」
「なにそれ、うけるー」
悪気なんてないんだろう。でも、やっぱり他人って…簡単に人を傷つけられるよね。
どうせ根暗だよ。貞子みたいに前髪長くてボサボサだよ。
もう…帰りたい…。
膝を抱えて、眼鏡を外して抱えた膝に顔を埋めて、女の人たちがどこかに行ってくれるのを待つ。彼女らの前に出るなんて私にそんな勇気ないから待つことしかできない。
「あなた達、観客でしょ?早く行かないと収録再開するわよ」
美千子さんの声が聞こえて、思わず顔をあげた。
