キミの笑顔の理由になりたい

 
そういえば私は忘れていたジャージを取りに来たんだった。

いきなりイケメンに囲まれたり、他の4人も私の世話に加わると言い出したり…まだここに来て数分しか経っていないのにもう疲れた。



「冬祢ちゃん、はいこれ」

「あ、ご、ごめんさない…忘れちゃって…」



ジャージの入った紙袋を手渡されて美千子さんにお礼を言う。

私の用事はこれで終わりだけど、須賀さんがいないと家に帰れない。須賀さんはこれからテレビ撮影だから何時間かかるのやら…。



「どうせだから冬祢ちゃんスタジオ見学したら?」

「…はい?」



どうやって時間を潰そうかな、スマホゲームで遊んでおこうかな。と考えていたら美千子さんが名案でしょ?とでも言うようにスタジオ見学をしないかと言ってきた。

美千子さんの提案にそれいいね!と勝手に盛り上がるルーメンのみなさん。

いやいやいやいや、ちょっと待ってくれ。

確かに収録に時間かかってしまうだろうけどたかが2~3時間でしょ?この楽屋でひとりスマホゲームで遊んでいる方が私的にいいんだけど。

スタジオに行けば見学に来た一般の人もいる。その中に紛れて2~3時間の方が私は辛い。

だけど、やっぱり私は断る勇気がなくて、流れにのまれてスタジオ見学することになった。

どうせなら近くで見なよと言われたが、テレビに映りたくないし私なんかよりルーメンのみんなを間近で見たい人はたくさんいるから真ん中辺りの席は遠慮した。

はしっこの方の席に座り、スタジオを見渡してみると、ああテレビとおんなじだ。と感心してしまった。

隣に座るお客さんはもちろん、他のお客さんも今か今かとルーメンが出るのを待っている。

さすがに一緒にスタジオに入ったら一般人に何を思われるかわかんないから須賀さんたちとは別々にこのスタジオに入った。

まぁ一人でこんなところに来れないから席に座るまで美千子さんが一緒にいてくれたんだけど…その美千子さんはもうすでにいない。

知っている人がいない。怖い…っ

もうここから逃げ出したくなって、本当に逃げてしまおうかと思ったら観客がざわついた。

顔をあげるとスタッフに挨拶しながらセットの方へと来るルーメンのみんながいた。

須賀さんを見て、逃げ出したかった気持ちが少しずつ落ち着いていった。

はしっこの方だから彼らは遠く、きっと彼らも私を見つけるのは難しいだろう。それでも、目の届く範囲に須賀さんがいるからかもう少しここにいてもいいかなと思った。