キミの笑顔の理由になりたい

 
欲しいフィギアの他にストラップまで買ってもらった。

昨日のカレーのお礼のつもりらしい。



「ふふ…須賀さん、ありがとうございます」



帰りの車の中で買ってもらったフィギアを眺めて改めて須賀さんにお礼を言う。

フィギアって結構高いし、ストラップも大人買いしてくれたし…結構な出費だったはず。

今日の夕飯も須賀さんの好きなものを作ってあげようかなと思った。



「冬祢ちゃんはアニメとか漫画とか好きなんだ?」

「そうですよ。だって、二次元なら私を傷つけないから」



須賀さんの質問に当然のように答えると須賀さんは「そっか」と笑っていた。

けど、その笑みがなんだかぎこちなく感じて私は首をかしげた。



「冬祢ちゃん、今すぐじゃなくてもいいんだけど…俺とは友達だと思ってくれる?」



アイドルと…友達?

いやいやいやいや、無理だろ。

というか、何故いきなりそんな話になった。



「最初はお兄ちゃんって思っていいって言ったけど…やっぱり友達がいいなーって思って、ダメかな?」

「だめ…というか……私なんかでいいんですか?」



だめかと聞かれるとだめと言えない性格の私はどう答えるべきかと悩んだ。

アイドルと友達ってどんだけ私に難しい試練を与えるつもりなんだと思ったけど、アイドルのお友達がこんなオタクでいいのかと思った。

世の女性はアイドルとお近づきになりたがっているだろう。

私なんかよりずっと、そう思っている女性はいるはずだ。



「冬祢ちゃんがどんな人でも関係ないよ。
なんか俺…冬祢ちゃんのこと放っておけなくなってきたし」



丁度赤信号で止まり、須賀さんはアイドルスマイルではなく、優しい雰囲気の笑みを浮かべてこっちを見てきて、その笑みに私は何故か須賀さんを見ることができなくて顔をそらしてしまった。

今までこんな風に異性と接したことがないせいだと自分に言い聞かせるけど、家に帰るまで須賀さんの横顔すら見れなかった。

マンションに帰り着き、今日の夕飯はどうしようかと考えて昨日のカレー使ってカレーうどんにでもしようかと思っていればエレベーターは目的の階に到着。

エレベーター出てすぐが自分の家の玄関だからすぐに鍵を取り出してドアを開ける。



「ただいま…」



なんて言っても誰もいないんだから意味ないかと顔を俯かせれば、「おかえり」と須賀さんが返してくれた。

驚いて須賀さんの方を見れば須賀さんはやっぱり笑顔を浮かべていた。


友達…ならいいかな。


さっき須賀さんが言っていたことを思い出して、小さく笑みをこぼした。

でも、須賀さんにはそう思ったことは内緒にしておこう。

だって、異性の友達ってどんなものか知らないし…アイドルが友達なんて私にはレベル高すぎるから。

須賀さんに慣れた頃、私から友達になってくださいって言えるようになったら言おう。

そう心の中で決めた。