キミの笑顔の理由になりたい

 
エレベーターに乗り込み、駐車場へと降りていく。

途中で止められることはなくスムーズに駐車場まで降りることができた。

須賀さんは車を回してくるから待っていてと言って車のところに行ってしまった。

その背中を見送り、私は深くため息をついた。

昨日から私はおかしい。

他人が嫌いで外に出るのも嫌だったのに、どうして須賀さんといる?どうして外に出ているんだ?

自分のことなのに…わけがわからなくなってきた。

オシャレのオの字も知らなかった私が今時の子が着ていそうな服を着て、ちょっとメイクして、出掛けようとしている。

こんなの、私じゃない。



「お待たせ」



すぐに須賀さんが戻ってきて、私は車に乗り込んだ。



「冬祢ちゃんはどこ行きたい?」

「……須賀さん、好きなもの1つ買ってくれるんですよね?」



行き先を決めていなかったらしい須賀さんは私の希望を聞いてきた。

特に行きたい場所はないから、私が外に出ることになった原因でもある欲望を叶えるため改めて須賀さんに好きなもの1つ買ってくれるのかと確かめた。

須賀さんはアイドルスマイルで、もちろんと答えたから、私は行き先を告げた。



「アニメショップに行ってください」



今さら外に出てしまったと嘆くなら、欲しいもの買ってもらった方がいいと思った。

須賀さんは予想外の行き先だったから少し驚いている。



「えっと…それはどこにあるの?」

「道は教えますので、とりあえず駅に行ってくれませんか」



須賀さんは戸惑いながらも車を走らせて、駅へと向かった。

しばらくして駅に着き、そこからいくつかある道順の中でわかりやすいのを教えて、アニメショップの近くにあるパーキングエリアに停めてもらった。



「へぇこんなところにあるんだ」



須賀さんは感心しているようだけど、私はスタスタとお店の中に入っていく。

須賀さんは慌ててついてきていた。



「へー…ほー」



物珍しいのか、須賀さんはあっちこっち見ていた。

私もここに来たのは久しぶりだからついついあっちこっち見てしまう。

けど、目的のものはただ1つ。

大好きなキャラのフィギア。

フィギアが並ぶ棚に来て、まだあるかなと見回すと残り1つだった。



「あった!」

「え?欲しいのあった?」

「はい!須賀さん、ありがとうございます!」



残り1つだったそれを手に入れることができる喜びに私は今までにないぐらいのテンションで須賀さんにお礼を言った。

男はフィギアとか大好きで、女はそういうのは好きじゃないとか言っているけど、私は大好き。

だって、好きなキャラがそこに立っているんだよ?

私のフィギア専用の棚に並ぶんだよ?

興奮するわ。



「…ふ、冬祢ちゃん、それでいいの?」

「はい、これがいいです」



嬉しすぎて自然と顔がにやけてしまう。

さて会計に行こうと須賀さんの方を見ると、須賀さんはばっと顔をそらした。

須賀さんが顔をそらすからそんなひどい顔をしていただろうかと自分の顔に触ってみる。

もう一度須賀さんを見れば、髪の隙間から見えた耳が赤くなっている気がした。