キミの笑顔の理由になりたい

 

「さて、髪はこんな感じかしら」



ようやくヘアメイクは終わったようで、鏡に映る自分はぼやけて見えないから眼鏡をかけてみると、さっきまでボサボサだった私の髪はきれいに整えられて毛先は緩く巻かれている。

長かった前髪は横に流すようにされて、その一部は三つ編みにされていた。

今までこんな風にキレイにしたことないから私は唖然と鏡に映る自分を見ていた。



「次はお洋服ね」



美千子さんはそう言って大きなスーツケースを引っ張り出してきてそれを開けた。

中には今流行りだと言っていた服がぎっしり詰め込まれている。



「冬祢ちゃんは…これがいいわね」



美千子さんが出してきたのは青い大きめの花柄のワンピース。

セットになっているのか黒い半袖タイプのカーディガンも出してきた。



「冬祢ちゃん、自信持って。冬祢ちゃんは可愛いから」



ワンピースとか着たことないと思っていたら美千子さんが笑顔でそう言ってきて、私は自信なんて持てるわけないと心の中で呟いた。

とりあえずジャージで外出はできないから仕方なくそのワンピースに着替える。

いつもズボンを履いていたせいか足がスースーするけど、下に短パンみたいなものを履いた方がいいとすすめられて履いたら少し安心できた。



「そうだわ!これをつけましょう」



着替えも終わりどこかおかしいところはあるだろうかと見回していると、美千子さんは何かを思い付いたように声をあげて服が詰め込まれたスーツケースとは別のトランクからカチューシャを取り出した。

シンプルだけど大きな横の方についているリボンの飾りがワンポイントになっているそれを見て、私は逃げたくなった。

そんな可愛らしいもの、私に似合うはずがないでしょ!?



「ほら、これで完璧ね」



嫌だと抵抗できないせいか、あっさりそのカチューシャつけられてしまった…。



「眼鏡がちょっとあれだけど、今回は仕方ないわね」



さすがにコンタクトは用意できなかった美千子さんは少々不満そうだけど私の姿を見てうんうんと頷いていた。



「漆斗くん呼んでくるわねぇ」



はっ!そういえば…私は須賀さんと来ていたんだった!

こんな似合わない格好見て須賀さんはどう思うだろうか…。

美千子さんは可愛いと言っていたけど、女の可愛いは信用できん。

なんてひねくれたことしか考えられないんだろ私って…ほんと自分が嫌になる。

人の好意は素直に受け取っておけばいいのに。



「冬祢ちゃーん、入るわよ~」



なんてことを考えているうちに美千子さんが戻ってきてしまった。

どうしようどうしようどうしようどうしよう…

恥ずかしいから隠れたい!

私は慌てて隠れられそうな場所を探して、丁度観葉植物があったからその影に隠れた。