キミの笑顔の理由になりたい

 
遮光カーテンの隙間から溢れる光から今日も晴れかと予想できて、私はベッドからでると須賀さんが心配しているから部屋のドアをほんの少し開けた。



「冬祢ちゃん…悲鳴が聞こえたけど」

「大丈夫です、ちょっと変な夢見ただけなんで」



嘘は言ってないぞ。

須賀さんは私に何もなかったことがよほど安心できたのかホッと息をついていた。

それにしても…須賀さんの今の格好は世の女性が見たらなんと思うだろうか。

アヒルの絵があるピンク色のエプロンをつけてお玉片手に持っているのだけど…可愛いと思うのだろうか?

私にはよくわからないけど。



「あの、なに…してたんですか?」

「ん?朝ごはん作ってたんだー」



あぁ、朝ごはんですか。

アイドルって自炊とかしているんだなぁと感心した。



「冬祢ちゃんは少食だって社長から聞いてるから味噌汁だけでも飲んでくれないかな?俺、料理とかそんなうまくないからうまくできてるか、見てほしいんだ」

「味噌汁だけなら…」



私より生活力ありそうなのに料理に自信がないって…やっぱり忙しいからそうそう自炊できないのかな?

ま、私にはどうでもいいことだ。

須賀さんが作ったらしい味噌汁、飲んでやろうじゃないか。

意気込むところ違う気がするけど、気にしない方向で。

リビングに行き、ダイニングテーブルにつけば須賀さんが味噌汁を注いでくれた。

早速味噌汁を一口、口に含んでみれば普通に美味しかった。

少なくともたまに作るお母さんの味噌汁より美味しい。



「ど、どう?」

「…美味しいですよ」



世の女性なら「うん、美味しい!」と満面の笑みつきで言うのだろうけど生憎と私はそんな可愛いげがないので仏教面で美味しいと答えることしかできなかった。

それでも、須賀さんは嬉しそうにしていた。

どうしてこの人はこんな可愛くない女が美味しいと言ったら喜んでくれるのだろうか?

やっぱり他人って、何考えているかわかんないや。



「そうだ、今日出掛けようか」

「……………………今、なんと?」

「出掛けよう?」



もそもそと味噌汁を口に運んでいたら、須賀さんが突然そんなことを言い出して、私はピシリと固まった。

こうして固まるのは何度目だろうか、とか考える余裕はない。

この人は出掛けると言ったのか?

外に、出掛けるのか?

昨日は仕方なく買い物に外に出たけど、基本私は外に出たくない。



「須賀さんお一人でどうぞ」

「えー…せっかくだから一緒に行こうよ」



お母さんに言われたんなら知っているでしょ?

私が外に出るのすごく嫌だってこと。