キミの笑顔の理由になりたい

 
リビングに戻れば丁度ルーメンの番組をやっていた。

ルーメンとゲストチームが競う、ありきたりな番組だけど面白いからついつい見てしまう。

他にもトーク番組とか、もちろんルーメン自身がゲストとして出演することもある。

歌番組はあまり見たことないけど、気づけばルーメンが出ている番組を見ている。

別にファンじゃないのに…でも、ファンじゃなくても面白いからついつい見てしまう。

彼らはまさしくアイドルだ。

みんなの視線を引き付けることができるのだから。



「須賀さん、お風呂上がりましたよ」

「あ、うん」



テレビを見ていた須賀さんに声をかければやっぱり笑みを浮かべて答えてくれた。

この人は笑顔ばかりを浮かべているけど疲れないのだろうか?

ふと思った疑問を聞く勇気を持ち合わせていない私はそのまま須賀さんがお風呂に行くのを見送ることしかできなかった。



「今のうちに食器片付けよう」



水切りかごに入れていた食器を片付けようと思いキッチンに立つ。

キッチンは対面キッチンだからテレビが見える。

テレビに映る須賀さんは本当に楽しそうで、でもしっかり番組の進行は忘れずにゲームを進めていく。

須賀さんがルーメンのリーダーというわけではないけど、彼らの番組の司会進行役は大体須賀さんがやっているイメージがある。

まぁ、しっかりしているイメージがあるから司会進行は向いているかもね。

ある程度水気がなくなった食器でも少しの水気はあるから布巾でちゃんと拭いて食器棚に片付けていく。

お皿は比較的低い位置の棚にあったんだけど、コップが少々高いところだから私の身長では届かない。

普段私が使うコップは下の方に置いてあるけど、須賀さんが使ったコップはさっきも言った通りの場所にあったもの。

ダイニングテーブルのイスを持ってきてそれを踏み台にして片付けなければと思いイスを持ってきてそれに上る。

ちびは辛いなと思いながら食器棚にコップを置こうとした。



「冬祢ちゃん?!危ないからすぐ下りて!」

「ふぁい!?」



コップを置こうとした瞬間、須賀さんの慌てたような声がしてビックリした私はコップを落としそうになったけど、コップは割るものかと踏ん張ろうとした。

その結果、私がバランスを崩してイスから落ちそうになるというなんとも典型的なパターンになったわけで…、倒れると覚悟して目を固く閉じたら何か暖かいものに包み込まれるような感じがして、一向に床に叩きつけられるような痛みがこなかった。

恐る恐る目を開ければ、これまた典型的なパターンで、須賀さんが抱き止めてくれていた。



「冬祢ちゃん!危ないだろ!?」

「え…は、はぁ…」



須賀さんが怒鳴ったりしなければ危なくなかったんですけど…とは言えず、唖然としたように須賀さんを見上げている私。

須賀さんはよほど心配していたのか、私が怪我していないことを確認すると安心したように息を吐き出した。



「今後、危ないことしちゃダメだからね?」

「…は、はい……」



さっきのは危ない分類に入るのだろうか?

須賀さんは心配性だと思うが、こうして誰かに心配されるのはなんだか少し嬉しく思った。