涙の理由もわかり、食事を再開して、カレーを完食。
鍋にはまだ少しカレーが残っているが明日の朝か昼にでも食べればいいだろうとタッパーに入れて冷蔵庫に入れた。
カレーがこびりついた…というのは語弊があるけどカレーがついた食器はすぐに洗わないとしつこいから水である程度の汚れを落として洗剤で丁寧に洗っていく。
自分の部屋は汚いのに食器が汚いのは許せない。
泡まみれになった食器等を水で流して水切りかごに入れておく。
ご飯も食べた。あとはお風呂だと、お風呂の用意をしようと思うが、それは須賀さんがやってくれている。
いつもはひとりだから、全部自分でやっていたのに…。
することもなくなってしまったけど、お風呂はその内沸くだろうから着替えとか用意しておこうと一度部屋に戻った。
着替えと言っても長袖長ズボンのジャージとジャージの下に着るシャツだけだけど。
「冬祢ちゃん、お風呂沸いたから先に入りなよ」
「あ、はい…」
こういう時ってお客様から入れさせるべきなんだろうか?
でもどうせ「冬祢ちゃんが先に入りなよ」って言われそうだし…互いに遠慮しあって無駄な時間が過ぎてしまう気がする。
それにしても、自分以外の人間が家にいるってなんか不思議な感じ。
私はそっと笑みを浮かべて、はっとなった。
他人がいることが嬉しいと思っているのか、私は今笑っていた。
ありえない。他人なんて何考えているかわかんない怖い存在だというのに…。
でも…須賀さんは怖くないって、心のどこかで思っている。
「…考えるのよそう」
この人だけ怖くないと思っているのはきっと異性に優しくされたことないからだ。
勘違いだ。勘違いなんだ。
自分の中で結論付けてお風呂に入る。
考えるのは止めようと決めたはずなんだけど、私はついつい考えてしまっていた。
何故須賀さんはあそこまで自分に優しくしてくるのか。
それは、私が社長の娘だから。
何故彼を怖くないと思うのか。
それは、初めて異性に優しくされて勘違いしているからだ。
自分で質問して自分で出した答えに少し悲しくなってきた。
何で私はこんな可愛いげのないことばかり考えているのだろう。
いやそもそも、何故須賀さんのことを考える?
他人なんていつものように放っておけばいいじゃないか。
そうだ、関わったら自分が傷つけられる。
信じたら痛い目を見る。
「…ハァ!」
私は息を大きく吸い込むと浸かっている湯船に勢いよく顔を入れた。
数秒もしない内に顔をあげてぷはっと息を吐き出す。
よし、気持ちを切り替えていこう。
私は湯舟から出て脱衣所に戻りいつものジャージに着替えるとリビングにいるであろう須賀さんにお風呂上がった報告に行った。
