「すごい量ですね…。」
「でも、これで大学のレベルは平均よりちょっと上って程度なんだよな…。」
「トップ層の人って、もっとすごいんですか?」
「うん。確か…高端が東大受けるはずだったと思うけど…。」
「と、ととと東大って、あの…?」
「そう。日本最難関と言われる、東橋大学。」
「はわぁ…。」

いかにも「開いた口がふさがらない」と言わんばかりの様子だった。

「そうだ、勉強会、やらないか?」
「勉強会?」
「そう。分かんない所とかも、皆がいれば解決できると思うんだよね。」
「…澄鈴ちゃんについていけるかな…。」
「大丈夫だって。じゃあ、ちょっと電話してみる。」

僕は高端に電話をかけた。

「もしもし?」
「あ、高端か?」
「あ、安堂…?」
「そう。今大丈夫か?」
「うん、大丈夫…。」

電話越しの高端の声は、いつもより少し、照れを隠しているように聞こえた。

「えっと…今から勉強会、やらないか?僕と飛鳥と、あとは…文芸部のメンバーも、呼ぶか。」
「どこで…?」
「別にどこでもいいけど…だったら、僕の家に来る?」
「いいの…?」
「全然大丈夫。じゃあ、皆にも伝えておいて。誘えたら、また連絡な。」
「うん。じゃあね。」

電話が耳元で切れる。妙な残響感が、そこにはあった…。