その後僕達は暗くなるまで推理をし続けたが、有力なものは何もなかった。

丹隼さんの家からの帰り道。

おぼろげに光る月は、空の不透明感を物語っていた。街灯が照らす地面は、いつもより暗めに見えた。

「はぁ…。」

ため息の白さが明瞭だ。

「今日は進展なし、か…。」
「そういう日もありますよ。また明日、頑張ればいいじゃないですか。」

飛鳥が笑顔で励ましてくれる。その笑顔を見ていると、つい「そうなのかな」と思ってしまう。

「…でも、そこまで暇じゃないんだよね…。」
「どういう意味ですか?」
「僕だって、受験生なんだよね。だから、受験勉強しないと。」
「あ…。」

幸い、僕は成績はいい方だ。でも、そこにあぐらをかいてはいられない。いつ誰が抜いているか、分かったもんじゃない。

「じゃあ、一緒に勉強しましょうよ、太陽さん。」
「だな。」

家のドアを開ける。

「ちょっと待ってて。赤本取ってくるから。」

僕は赤本やその他参考書の束を、机の上にドサッと置いた。