ドアが開く。飛鳥が入ってくる。…こうして制服を着た飛鳥を見ると、やっぱり葉月のことを思い出してしまう…。

「えっと…近藤飛鳥です。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いしま～す…。」
「じゃあ近藤さん、そこの席に座ってくれる？」

先生が示したのは、僕の隣だった。―元々、葉月の席だった場所―。

座るなり、飛鳥が小さな声で話しかける。

「よかったです、太陽さんの隣で。」
「そう？」

…まぁ、僕の方も隣に誰もいないという孤独から解放されたからよかったけど。

「じゃあ、授業を始めま～す。近藤さんは、隣に教科書を見せてもらってね。」
「はい。」

授業は特にこれと言った事件もなく終わった。

休み時間。

「飛鳥ちゃ～ん！」

チャイムとほぼ同時に、複数の生徒が飛鳥の席へと駆け寄ってくる。

「へ？」
「私、加賀実華(カガ・ミカ)。よろしく。」
「私は端本澄鈴(ハシモト・スミレ)。」
「御厨涼風(ミクリ・スズカ)よ。」
「高槻月夏(タカツキ・ゲッカ)。」

あっという間に、飛鳥は四人もの友人を作ってしまった。…女は恐ろしい…。