「…なるほどね…。」

僕は丹隼さんに頼ることにした経緯を話した。丹隼さんは少し考えたようなそぶりをしてから言った。

「…覚悟はできてる?」
「覚悟…ですか?」
「そう。これは事件なんだ。君達が本来入ることのできない領域だっていうこと…それは分かってるよね?」
「はい…。」

丹隼さんの目は、真剣そのものだった。普段ふざけている雰囲気の丹隼さんのこんな表情を、僕は初めて見た。

「そんな領域に踏み入れて、しかも警察に疑いの目を向けられながら行動する…。その覚悟、できてる?」

僕は拳を握りしめた。

何も知らない周囲から見れば、僕は「悪いこと」をしているように見えてしまう。

でも、その周囲の目も変わる。

僕達が犯人を見つければ、僕に向く目は変わってくる。

周囲の目ばかりではない。

明確な根拠もないのに僕を疑う人達に、正しさを証明できる。

そして何より…犯人を知り、適正な罰を下せるようになる。

僕が「嫌だ」と言うはずがなかった。