「ピンポ~ン。」

インターホンの音が、冬の乾いた空に鳴る。

「はい?…って何だ、安堂君か。」
「お久しぶり…ですね、丹隼さん。」

僕達は犯人を捜す。

そうは言ったものの、二人だけではどうしようもない。

捜査の方法も知らないし、残念なことに僕は犯人を捜し出す程度の頭を持ち合わせていない。

文芸部の中でのミステリー小説の腕は一番だと言われるが、あくまでもあれは空想。

現実の事件とは、やっぱり違うのだ。

だから、僕達は丹隼さんのもとを訪ねた。

警察の捜査にも加わっているこの人なら、かなり強力な戦力となり得る。

「どうしたの、こんな朝から?」
「その…ちょっと、お話がありまして。」

僕達は丹隼さんの家に入った。

丹隼さんの家は決して広くない、というかむしろ狭い方なのに、数え切れないほどの本がいたるところにある。キレイに本棚に収められており、中には気が滅入るほどの分厚さの本もある。

でも、こういう人は頼りになる。何となくのイメージが、僕に植わっていた。