「…あのさ。」

言いにくいことだけれど、僕は思い切って言ってみた。

「飛鳥は…葉月と蒼衣ちゃんのこと、どう思う…?」
「どうって…?」
「僕…皆のやってること、やっぱり間違ってると思うんだ。

皆は『二人の分まで』って言ってたけど…あれ、現実逃避に思えてくるんだ…。今日みたいに実際そうなっちゃってるのもあるし、これからもこういうことがあると思うと、二人がかわいそうで…。

だから、今日の初詣はやめにした。あの後皆がどうしたかは知らないけど…僕だけでも、ちゃんと事実と向き合おうって思って。まだ蒼衣ちゃんを殺した犯人も見つかってないしね。」

言いながら、僕は「ちょっと皆には悪かったかな」と思った。だがそれは口には出さなかった。

口に出してしまうと、また揺らぎそうで。

「太陽さんの言ってることは…合ってると思います。」

飛鳥の目は、はっきりと僕を映していた。

「私も、何で年越しとか初詣をするのか、ずっと不思議に思ってました。実華さん達は、もしかしたら葉月さん達のこと忘れてるんじゃないかなって…。」