カノジョノカケラ

「…そんなの、納得できるわけないだろ…！」

僕の心の叫びは、いつの間にか口から漏れ出ていた。

「何でそうやって隠すんだよ！」
「え…？」

飛鳥が驚きを隠せないのも無理はなかった。飛鳥は僕の体を離していた。

「事情事情って…隠すなよ！飛鳥の色んなこと…もっと教えてくれっ…！」

隠しごとをされたくない…。

この感情は、今日初めて味わったものではない。

僕が飛鳥と一緒にいた時、いつでも思っていたことだ。

ありのままを見たい。それと同時に、ありのままの僕を見せたい。

この感情に名前をつけろ、と言われても答えられないが、これは何か特別なものなんだということは分かっていた。

「それでも…やっぱり無理なんです、太陽さん。すみません…。」

飛鳥は頭を下げた。そんな飛鳥が何故か愛しくて、今度は僕の方から飛鳥を抱きしめたのだった。

その時、東の空から巨大な赤い丸が顔を覗かせた。

人生初の初日の出ということもあってか、複雑な気持ちだった。

かなり早起きだったが、眠気なんてものは感じなかった。それくらい、この時間は充実したものなのだ…と、言うことができるだろう。