「う…うあぁぁぁ…!」

遺書を読み終わったところで、僕は今度は声を上げて泣いた。

「クソっ…クソっ…!」

悔しさが膨れ上がり、爆発してしまったようだ。僕は地面に拳を何度も叩きつけた。僕の手は痛みを覚えたが、それも気にならなかった。きっと飛鳥は、これの何倍もの痛みを感じながら天国に行ったと思ったから…。

その時だった。

「太陽さん。」

もう一度聞きたかった、あの声がした。

「飛鳥…?」

顔を上げると、そこには飛鳥がいた。だがその背中には、大きな羽のようなものがついていた。

「それは…?」
「これ…多分、天使の羽です。」
「天使の羽…?」
「私、こういうのは信じていなかったんですけど…。でも、本当に天使っていたんですね…。」
「飛鳥…まさか…。」
「じゃあ…そろそろ行ってきますね。」
「やめてくれ…!」
「さようなら、太陽さん…。」
「やめてくれ!」

僕は叫んだ。だが飛鳥は羽を羽ばたかせると、病院の天井を通り抜けて、もう見えなくなってしまった…。