「…え…?」

僕は耳がおかしくなったのかと疑ったが、そうではないことがすぐに証明された。

飛鳥に繋がれた心電計は、飛鳥の脈を映してはいなかった。

「おい…。」

その場にへなへなと座り込む僕。

「嘘…だろ…。」

僕は悲しみと悔しさと恐怖で頭がどうにかなりそうだった。

「うぅっ…!」

僕はこれ以上喋れなかった。代わりに、嗚咽が僕の口を割って出てきた。

あと少し、あと少し僕の足が早ければ、もう一度飛鳥に会えたかもしれないのに。あと少し僕が頑張れば、飛鳥の最期の言葉を聞けたかもしれないのに。

こんなことがあるなんて…。僕はまたしても理不尽を感じてしまった。

どうして僕の周りで、こんなに命が消えていくんだ。どうして僕なのか。どうして僕は呪ってしまっているのか。

世の中はどうにも不平等だ。

「…そうだ…これ…。」

高槻が何かを手渡す。それは、飛鳥の遺書だった。

「太陽さんへ。

まずは、怒りすぎちゃって、ごめんなさい。考え方なんて人それぞれだし、怒るところじゃなかったですよね…。

でも、私の思いも知っていて欲しいです。私は、太陽さんが暗い考え方をするのが、どうにも嫌だったんです。だから、変えてほしくて…。」

これより後は、涙が邪魔して読めなかった。