僕は本気だった。

どこかオカルトな話をしていたかもしれないが、僕は本気だった。

これ以上僕のせいで人が死ぬのが、嫌で嫌で仕方がなかった。

僕のことを好きになってくれている人がこれ以上いるのかどうか分からない。それでもなお、僕は怖かった。

それに負けじと、飛鳥も本気だった。

僕の暴走を必死で止めてくれている。僕が死ぬのが嫌なようだ。

「…。」

僕は黙っていた。言うことがなくなったのではない。ある考えが浮かび、呆然としていたからだ。

僕のことをここまで考えてくれている飛鳥は…僕のことが、好きなのだろうか?だとしたら、飛鳥は…。

いやいや、そんなわけないだろ、と自分自身を説得しようとする。

飛鳥が言うように、僕がただ考えすぎているだけなのかもしれない。それに、飛鳥が僕のことを好きかどうかも分からない。

「…。」

黙ったまま空を見上げる。何の変哲もなく流れていく雲は、無関心の象徴に見えた。